PINKFOX 強制収容23

超高層ビルの谷間に立つ彼女は久々のゴージャスなふいん気を楽しむ間もなくコツ、コツ、と高いヒールを
小気味に鳴らして粋なシャム猫のようにガードの固い超セレブご用達ビルに臆する事なく入っていく。
スリットから見える綺麗な足のライン、腰骨ほどまで開いた深紅のドレス。黒皮にゴールドのロゴをあしらった
バッグに耳元のイヤリングは直径5cm程もあるダイヤモンド。
゛美゛を見慣れたセレブたちから見ても思わず声を失ってしまう程の美貌で固めた馬渕美智子、これが
゛規格外゛と銘打たれた大物政治家や銀行の頭取たちをいとも簡単に手玉に虜にしてきた産業スパイ、
PINKFOX本来の姿なのだ。
黒光りするビルのエレベーターは無音で彼女を乗せ一気に最上階、O氏の隠れ家へといざなう。
55階。
この階全てが彼の部屋だが居場所は分かっている。
豹柄のじゅうたんビッシリの廊下。
成金丸出しであまりいい趣味とはいえない。
だがO氏は決して裕福な生まれではなく、いかにも゛力゛で上へのし上がってきた男らしい空間ではあった。
コツ、コツと歩きある部屋まで来、暗証番号を押すとドアのロックが゛ガチャ・・゛とはずれた。
部屋は豪華なダブルベッド、小さな書斎、そして一番奥には東京のビル街を一望に見渡せる程広いリビング
ルームがあり、真っ暗な中O氏はガウン姿でその見慣れた景色を酒を飲みながら見つめていたが、
分かっていたのだろう。
PINKFOXにいう。
「酒を、注いでくれ。」

座るO氏の横に座りやがて長年の恋人のようにス・・と寄り添うPINK。
ここからやがて熱い、Deepな夜の幕開けが毎夜の事だったがブランデーグラスをカラン、と回しO氏は言う。
「・・・条件はなんだ?」
PINKFOXとは魔性の女。
色香1つでどんな男も骨抜きにし得た情報を政界や超大企業に流して来た今世紀最高の魔女。
現代に現れた東洋のマタ・ハリ。
堕ちたとはいえ自分の誘いを断りコノエの囲いを逃れていとも簡単にここまで来たのだ。
彼女のおかげでO氏はまた政界に舞い戻ってはきたがその逆、ある意味O氏にとって今の彼女はボタン1つで世界が消し去る核ミサイルのような物なのだ。
当然政界を失脚したかつてのライバルのようにまた自分もどうなるか・・・
特に彼女はまだまだO氏の弱点を、金庫の置く深くに閉まっておかれている銘約書、血判書など世に触れては
いけない物の存在さえ知り尽くしていた。
こんな物がライバル達の手に渡ったら追放どころか命さえあやうい。
それも何故知ったかといえば夜の情事、ついつい気を許した自らの発言をPINKFOXはこと細かに覚えている
のに他ならない。
だが・・・それならいっそ黒奇島で殺してしまった方がなんの心配もなく良かったのでは・・と思うのだがそれは
・・・権力の中枢に戻った人間の性で゛力゛でまたPINKFOXを囲んで・・・と考えたのであろう。
勿論゛夜の情事゛も入っての事だが・・・゛魔性の女゛といわれた彼女との情事は決して忘れられる
ものではない。
彼だけではない、ほとんどの男たちが今でも思い出すソレは彼女だけが持つ゛艶のある色香゛。
大人しくて気品のある彼女がみだらに振舞うセ○クス・・・今の若い女性が失ったモノと熟女が持つ男に対して
の崇高な土下座意識・・・美智子は両方を持ちそして゛素゛の部分で裸体を晒し、その金色の海原を2人で
泳いだ時間全てが男達にとって゛一生のかなわぬ恋゛の記憶となっていた。
それを分かっていて美智子は来ていた。
そして言う。
「猫宮ヤスシの開放が条件です」
「・・・・・やはり・・分かっていたか・・・」
美智子とヤスシは交わりのないヴァーチャルセックスをし、゛性の喜び゛を生まれて初めて分かち合ったがその後精液を持ったエリート女医は捕まり殺されたのだがその黒幕は勿論このO氏一派なのだ。
捕まったエリート女医は悲惨な拷問にかけられついに自白。ヤスシの居場所を知ったO氏は彼を捕らえ、
彼は今どこかで眠っている・・・
「彼は元気だ。監禁はしているがな(苦笑)。」
言うと立ち上がって話を続けるO氏。
「のんでもいい。ただし条件は・・・俺の女になる事だ・・・」


                                                            24へ続く